
シュトゥットガルト(Stuttgart)の文字は凹んだ背景にエンボス加工されています。高くあげられた肩関節(前足)と、なびく尻尾を持つ馬(Stuttgart Rössle)はとてもパワフル。
もともとの最初に出来たポルシェのクレストは、強い赤オレンジの色が特徴であり、そのクレストの歴史は初代ポルシェ911(1964〜1973年)にまでさかのぼります。
ポルシェのロゴ(PORSCHEという文字のロゴ)は、1948年の時点ですでにポルシェブランドの車両に最初からつけられていたそうですが、ポルシェの紋章であるクレストは、実は1952年になるまで作られていなかったそうです。
ポルシェは1951年3月に自社のロゴを作る為、ドイツの芸術学校に対し合計1,000ドイツマルクをオファーしてコンペティションを実施。(※その時代のレートで換算しても1,000ドイツマルクってそんなに高額ではない気がするのですが、私のレート換算が間違ってるのかな…。)
でも、どのデザインも経営陣にとって納得のできるものではなかったそう。
1951年の終わり頃、フェリーポルシェがNYを訪れた際にアメリカの輸入業者であるマックスホフマンから、ポルシェのロゴが欲しいと言われ、その結果としてまたロゴの作成がポルシェ社内でスタート。
1952年の初めに、Franz Xaver Reimspieß氏がポルシェのクレストを作成。この彼、1936年にフォルクスワーゲンのロゴを作った方でもあるそうです。
凄い、フォルクスワーゲンのロゴと、ポルシェクレストをデザインした人って同じ人だったのですね。
彼が作成したポルシェクレストは、ポルシェという会社のルーツを象徴しているのと同時に、その製品の品質とダイナミクスを表していて、かつ、金色の盾の中央にいる馬はシュトゥットガルトの街の紋章からとられたもの。
上部に描かれたシュトゥットガルトの名前の文字は、ポルシェが自社がある街にコミットしていることを示し、その周りにある赤と黒の色は、それぞれヴュルテンベルク=ホーエンツォレルン州(Württemberg-Hohenzollern)の伝統的な紋章からとられたものだそうです。
マツゲのようにみえるデザインは、antler (雄ジカの枝角)。
そしてこのすべてのデザインの上部に、アーチを描くようにPORSCHEというロゴが描かれ、すべてのデザインをプロテクトしているとのこと
ポルシェのクレストは1952年の終わりにドイツの特許庁に登録されたのち、ポルシェのホーンボタン(ステアリングの中央)に登場。
その後、1954年11月にはポルシェ356スピードスターの特徴的なボンネットにもつけられ、1959年には、ポルシェ・スポーツカーのホイールのセンターキャップにもつけられるように
それ以来、ポルシェはそのポルシェの品質を証明するポルシェクレストをすべてのポルシェモデルのボンネットにつけるようになったそうです。
ちなみにこちらのポルシェクレストは、著作権で保護されており、世界で最も有名な商標の1つ。ポルシェ本社の許可がない限り、商業的に使用することは出来ないものです。