2024年01月10日

レスベラトロール

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長寿遺伝子を活性化させて、延命効果をもつ可能性が期待されている成分「レスベラトロール」。ポリフェノールの一種でもあるレスベラトロールは、その抗酸化作用からアンチエイジング効果や美肌効果だけでなく様々な健康効果が報告されています。

レスベラトロールは、ブドウの皮や赤ワイン、落花生の種皮などに含まれるポリフェノールの一種です。2006年に世界的権威のある学術誌「Nature」で哺乳類での延命効果が報告されたことから一躍注目を集めました。

赤ワインの消費量が世界一であるフランス人が、高脂肪食なのにもかかわらず心臓血管の病気が少ないという“フレンチパラドックス”の鍵を握る成分ではないかとも言われています。

数千の論文で動物実験による様々な効果が期待できることが報告されていますが、ヒトでの臨床試験も徐々に進められており、その効果が実証されはじめています。

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レスベラトロールは化学構造の違いでトランス型とシス型に分けられます。

トランス-レスベラトロール
ワインや野菜など自然の食材から取れる安定した分子構造を持っています。
多くの研究・論文報告においてはトランス型が用いられており、実際に細胞の若返りや老化を防ぐ効果が期待できるのはこのトランス型であると言われています。そのため、サプリメントにはトランス-レスベラトロールとして何r含有しているかを表記されていることが多いです。

シス-レスベラトロール
太陽の光や熱、酸化などに対して不安定な構造です。

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さまざまな作用が報告されているレスベラトロールですが、具体的にどのような効果が期待できるのかをご説明します。

●長寿
食事のカロリーを制限すると、サーチュインと呼ばれる長寿遺伝子が活性化されることが知られています。サーチュインは遺伝子の末端部分にあるテロメアと呼ばれる部分が加齢とともに短くなるのを防ぐことで、細胞の修復を促し寿命を延ばす効果があります。

レスベラトロールには、カロリー制限をしなくてもサーチュインを間接的に活性化する作用が確認されており、延命効果が期待できると言われています。この働きをもつことでレスベラトロールは注目を浴びることとなりましたが、実際のところはヒトでの臨床試験データはまだ少なく、ヒトでも延命効果があるかどうかは研究段階のようです


●メタボリックシンドロームの予防
メタボリックシンドロームは、お腹の内側や内臓の周りに脂肪が蓄積されており、動脈硬化や糖尿病などの様々な生活習慣の引き金になると考えられています。


●血液の流れを良くして心臓病などの予防
肥満のヒト被験者に対して、レスベラトロールを150r/日で30日間摂取させたところ、収縮期血圧の低下や血糖値・インスリン抵抗性の改善などの変化が認められました。そのほか代謝の変化を促しカロリー制限をしたときと同様の効果が示されたことから、レスベラトロールはメタボリックシンドロームや動脈硬化・糖尿病などの生活習慣病を予防する効果が期待できると報告されています。

血液中の悪玉コレステロールが活性酸素によって酸化され、蓄積することで血管の弾力が失われて動脈硬化や心臓病の原因になると言われています。
レスベラトロールは抗酸化作用をもつことから、悪玉コレステロールの酸化を抑制して心臓病や動脈硬化を防ぐ効果が期待できます。

また、一酸化窒素(NO)合成酵素を活性化し血管を拡張させる作用もあるため、からだ全体の血液の流れを改善することにより心臓病や脳血管疾患を防ぐ効果も期待できます。大阪大学の研究によると、この作用により陰茎動脈も拡張させるため、EDを改善して男性機能の低下を抑える効果も報告されています。


●不妊症の改善
卵子の中には、通常の細胞の100倍以上の数のミトコンドリアが存在します。ミトコンドリアは細胞内でエネルギーを作り出すいわば“発電所”のような役割を果たしており、産生されたエネルギーを受け取って卵子は正常に成熟し、子宮に着床します。しかし加齢とともにミトコンドリアの数が減ってしまうことで卵子の質が落ちてしまうと言われています。

レスベラトロールがサーチュイン遺伝子を活性化させると、ミトコンドリアの働きも活発になります。その結果、卵子の質が改善されるため、レスベラトロールは生殖医療の現場で用いられることもあります。
一方で2020年に報告された論文によると、卵子が子宮に着床する時期に摂取すると流産や卵子の着床率の低下につながる可能性があるようです。そのため、妊娠を希望される方は、必ず服用時期を医師と相談してからレスベラトロールを摂取するようにしましょう。


●女性ホルモン様作用と乳ガンの予防
レスベラトロールは、合成女性ホルモンであるジエチルスチルベステロールと同様に化学構造にスチルベン骨格をもつため、女性ホルモン様作用があると言われています。
そのため、更年期症状の改善に効果が期待できます。

また、乳がんの約7割は、女性ホルモンであるエストロゲンと結合して増殖する性質があります。そのため治療にはエストロゲンを抑えるホルモン療法が用いられますが、続けるうちに治療抵抗性が現れ、乳がんが再発する場合があります。再発に関与する遺伝子は研究で明らかになっており、女性ホルモン様作用のあるレスベラトロールがこの遺伝子の働きを抑えることで、再発乳がんに効果が期待できるという研究結果が一部で報告されています。

●いろいろな美容効果
レスベラトロールは、サーチュイン遺伝子活性化作用、抗酸化作用、血行促進作用、女性ホルモン様作用などをもつことから、美容効果も期待できます。


●サプリメント
レスベラトロールは多くのメーカーでサプリメントが販売されています。

海外製の商品の場合、タデ科植物のイタドリを原料に製造されているものがあります。しかし日本では、薬効・副作用の観点から医薬品区分となるためサプリメントへの配合は認められていません。また、イタドリにはエモジンというお腹が緩くなる成分が含まれていることもあり注意が必要です。

サプリメントを選ぶ際は、原材料やトランス-レスベラトロールの含有量をきちんと確認してから購入するようにしましょう。



長寿遺伝子サーチュインを活性化して、さまざまな健康・美容効果が報告されているレスベラトロール。適切に取り入れることで、からだの細胞を元気にして若返り効果が期待できるでしょう。

しかし、レスベラトロールをヒトが摂取した場合の病気の治療・予防効果についての臨床データの量はまだ十分とは言えません。レスベラトロールはあくまでも食品であるということを忘れずに、治療中に摂取する際には医師・薬剤師に相談するようにしましょう。
posted by かめ忍者 at 14:27| 栃木 ☀| Comment(0) | サプリメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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