「ヒハツ」はインド長コショウ。沖縄で自生・栽培されているのは、ジャワ長コショウで「ヒハツモドキ」です。ヒハツとヒハツモドキは、原産地は違えど極めて効能は似ていると言われます。
ここからは、ヒハツが有する「健康に良い効果効能」を3つご紹介します。
内臓温度が上がり、冷え対策になる
体の冷えは、「だるくなる」「イライラする」「太りやすくなる」など、さまざまな不調の原因になります。
冷えを解消するためには、内臓温度を上昇させなければなりません。生姜も効果がありますが、ヒハツのほうが内臓温度を上昇させやすく、生姜の場合は1日に10g程度必要なのに対し、ヒハツなら1日1g(小さじ2杯)程度で充分です。
なお、生姜の場合、何らかの調理(刻む、煮るなど)をしなければなりませんが、ヒハツなら小さな容器に入れて、コショウや七味唐辛子のようにふりかけるだけなので手間がかかりません。
むくみの解消につながる
むくみは、腎臓機能や末梢循環障害に起因する病的なもの以外に、健康な方でもデスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けている場合に発生することがあります。男性に比べて筋肉量が少なく、冷えやすい女性は、むくみに悩んでいる方も少なくありません。
愛媛大学の研究者が2009年から2011にかけて実施した研究によって、ヒハツには、冠状動脈の血管を拡張する作用や、血流増加作用、発汗作用、新陳代謝の促進作用などがあり、むくみに対しても改善効果があることが判明しました。むくみに悩んでいる方は、ヒハツを食生活に取り入れると良いでしょう。
血管が拡張するため、血圧の改善に役立つ
血管の内皮細胞は、血流が速くなると一酸化窒素を産生して放出します。放出された一酸化窒素は、血管の「中膜」と呼ばれる部位にある「平滑筋」に作用し、平滑筋の緊張がゆるむことで血管が広がります。
なお、血管を広げる働きは、放出される一酸化窒素の量に左右されることにご注意ください。ヒハツ由来のピぺリンを摂取すると血管内で一酸化窒素の働きが増強され、血管が拡張しやすくなり、血流がスムーズになります。
その結果、正常な血圧を維持するのに役立つので、高血圧の方は、ヒハツの摂取を心がけてはいかがでしょうか。
●注意点
ヒハツの1日あたりの摂取量は1g(小さじ1/2程度)とされています。大量に摂取すれば効果が高まるというものではないので、過剰摂取には注意が必要です。
ヒハツを摂り過ぎると、胃痛や吐き気、下痢などの症状が現れる可能性があります
●まとめ
ヒハツは、南アジア原産のコショウ科の香辛料です。現在、インドやインドネシアなどでは、さまざまな料理でヒハツが使われています。また、アーユルヴェーダにおいては、「長寿の薬草」として扱われてきました。
日本ではあまりなじみのない食材ですが、近年、テレビ番組で取り上げられるようになり、少しずつ知名度が向上しています。
ヒハツには辛み成分のピぺリンが含まれており、コショウのように「ピリっ」とした辛さがありますが、香りはシナモンに似てほのかに甘く爽やかです。
「内臓温度が上がり、冷え対策になる」「むくみの解消につながる」「血管が拡張するため、血圧の改善に役立つ」といった効果を期待できるので、食生活に取り入れてはいかがでしょうか。
有害成分の報告はありませんが、辛いため、一度に大量に摂取するのは困難です。コショウや七味唐辛子のように、さまざまな料理にふりかけると無理なく摂取できるでしょう。




