摂取量や期間
β-アラニンの有効性を検討した研究の多くで、摂取量は1.6〜12g/日、期間は2週間〜6カ月とされている。この摂取プロトコルにより、筋肉のカルノシン含有量がベースラインレベルから23〜200%の範囲で増加することが報告されている。初期の研究では6.4g/日という高用量が用いられた場合に、知覚異常のリスクが生じ得ることが報告されていた。その後、徐放性製剤の開発により知覚異常のリスクを抑制しつつ、より高用量を摂取可能となっている
筋肉カルノシンの上昇の程度は報告による差が大きい。これには、ベースラインのカルノシンレベル、食習慣、運動プログラムの種類、サプリメントの用量や摂取期間など、複数の因子が関与しているのだろう。総じて、筋肉カルノシンレベルの増加はβ-アラニン摂取量と相関しているといえる。
兵士のβ-アラニン摂取
兵士の訓練や戦闘関連行動には、長時間のランニングや短距離の疾走、装備や負傷した仲間の運搬、射撃や白兵戦など、多くの身体的課題が含まれる。これらの課題を睡眠不足による認知ストレス下で実行する必要がある場合もある。
高強度の軍事活動中の兵士の戦術パフォーマンスに対するβ-アラニン摂取(6g/日を4週間)のメリットを実証した研究が2報存在する。軍事訓練中のβ-アラニン摂取によって、プラセボに比べて、兵士の下半身パワーと精神運動能力(交戦速度、射撃精度)が維持されることが示されたという。また、負傷者の後送課題や実弾射撃中の数学的計算能力も改善したとのことだ。
軍事訓練に伴う炎症反応に対するβ-アラニン摂取の影響を検討した研究が1件存在している。体重の約50%の重量のバッグを背負い、連日27.8kmを走破し、1日の睡眠時間は約5時間という5日間の訓練を2回実施する際に、高用量(12g/日)のβ-アラニンを1週間投与したところ、抗炎症性サイトカインであるIL-10の有意な上昇が観察されたという
安全性
β-アラニン摂取に伴う唯一の副作用は、皮膚のしびれなどの感覚異常である。この症状は通常、サプリメント摂取後60〜90分以内に消失する。




