2024年06月15日

Ca-AKG(カルシウムα-ケトグルタル酸)

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・クエン酸回路に関与しているグルタル酸とグルタミンの誘導体であるAKG

・長寿やアンチエイジング、骨の健康にも効果が期待できるCa-AKG(カルシウムα-ケトグルタル酸)

・サプリメントで摂取できるCa-AKG(カルシウムα-ケトグルタル酸)

・AKGが塩化されたAAKG(アルギニン アルファケトグルタル酸)

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AKG(α-ケトグルタル酸)についての基礎知識です
ミトコンドリアによるエネルギー代謝において最も重要なクエン酸回路に関与しているグルタル酸とグルタミンの誘導体であるAKG。糖質制限をしている人であればお馴染みのケトン体とも関連するケト酸の一種です。筋肉のタンパク質の分解を防ぎ、腸の細胞のエネルギー源として重要な役割を果たすグルタミン酸とグルタミンの供給源であるα-ケトグルタル酸。また、体内の廃棄物である活性酸素を抑制するスカベンジャーとしても機能し、筋肉の分解(タンパク異化作用)の減少及び筋肉合成(タンパク同化作用)の増加を促進させることで筋骨格形成を増強すると考えられています[1]
また、コラーゲンを合成しシワの形成の予防[2]や免疫の栄養因子として免疫代謝において重要な役割を果たします[3]。このAKGのアンチエイジング効果や健康への好影響は、以前からさまざまな研究により報告されていましたが、AKGの一種で安定型と呼ばれているCa-AKG(カルシウムα-ケトグルタル酸)が、より健康的なアンチエイジング効果を促進する可能性があることが新たに報告されました。

2020年に発表されたマウスでの研究によると、Ca-AKG(カルシウムα-ケトグルタル酸)を投与されたマウスのDNAのメチル化が抑制され老化細胞によって引き起こされる炎症が軽減されたことが報告されました。生物の遺伝子発現を調節する主要な制御プログラムであるDNAメチル化は、ガンや老化、加齢性疾患と深い関りがあります[4]。この研究により、マウスのエピジェネティクス的年齢(実質的な健康年齢みたいなもの)が8.5歳も低下。このことから、Ca-AKGに老化の進行を遅らせる効果が期待できそうなのです。また、罹患率の低下の有意性も報告されています[5]。老化に伴うさまざま疾患を少しでも和らげ、高齢者の生活の質を改善するCa-AKGは今後アンチエイジングの重要な鍵となりそう。

この研究は、あくまでもマウスによるものですが、人とマウスに見られる老化の表現型には多くの共通点があるため人での効果も大いに期待できるのです[6]


骨の中に含まれているミネラル分の骨塩は、主にカルシウムとリンで形成されていますが、リンはカルシウムやマグネシウムと結合したのちリン酸カルシウム・リン酸マグネシウムとして骨や歯に存在します[7]。しかし、食品から摂取するリンや加工食品などに添加物として含まれているリン酸塩などの形で過剰に摂取されると、リン酸がカルシウムの吸収を阻害し、骨密度の低下や、骨粗鬆症の原因、すなわち骨の老化が促進されます[8] [9]

また、加齢による体のホルモンバランスの変化により骨量が減少するため、カルシウムとリンの摂取バランスはとても大切となります[10]。Ca-AKGにはこの2つのミネラルのバランスを正常に保つ作用があるのです[11]。体内の過剰なリン酸塩に結合し、廃棄物として排出させることで、カルシウム濃度レベルを正常に戻し、骨質の劣化を抑制する可能性があると言われています[12] [13]。副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、骨粗しょう症や高カルシウム血症などの疾患を招く副甲状腺機能亢進症の長期治療における有意性も示されています[14]


Ca-AKGはサプリメントで。

Ca-AKG(カルシウムα-ケトグルタル酸)のサプリメントは、日本ではほとんど見かけませんので、海外から輸入するしか方法はありませんが、海外では既に何種類かのサプリメントが販売されています。選ぶのであれば、FDA(アメリカ食品医薬品局)に安全性が認められているカルシウムα-ケトグルタル酸が使用されたこういった商品が安心ですが、推奨量や使用法をしっかりと守りましょう。こういう、より安価な製品もあります。

 

併せて知っておきたいAAKG(アルギニン アルファケトグルタル酸)

アミノ酸の一種であるアルギニンとAKGが塩化されたAAKG(アルギニン アルファケトグルタル酸)は、血管の老化を防ぐ一酸化窒素の前駆体です。主に、運動用のサプリメントとして販売されているので見たことがある人もいるかもしれません。このAAKGによって一酸化窒素の生成が増加し血管が拡張することで血流を促し持久力や運動パフォーマンスの向上が期待できると言われていますが、研究によってはその効果はあまり信憑性がないことが報告されています。筋力トレーニングなどで効果がある可能性が示唆されている研究結果はあるので、高負荷のウェイトトレーニングなど特定の運動に絞って使用するのがよいでしょう[15]。


なお、動悸、めまい、嘔吐、失神などの副作用も報告されているので注意しましょう[16]。


まとめ〜老化対策として最近欧米で話題のCa-AKG(カルシウムα-ケトグルタル酸)。そのアンチエイジング効果とは?〜

日本ではまだ新しい概念であるCa-AKG(カルシウムα-ケトグルタル酸)ですが、アンチエイジング効果に加え、高齢者の生活の質の向上が期待できます。サプリメントで摂取することができるCa-AKGの効果はまだはっきりしたものではありませんが、もしサプリメントを摂取しただけでアンチエイジング効果が得られるのであれば夢のような話ですよね。近い将来、それが日常となる日が訪れるかもしれません。



posted by かめ忍者 at 19:20| 栃木 ☁| Comment(0) | サプリメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年04月13日

冬虫夏草 (Cordyceps)

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冬虫夏草は古来より滋養強壮、不老長寿のための高級食材として重宝されてきたキノコの一種です。
現在は人工培養が可能となったため、免疫力を向上させ老化を防止してくれるものとしてサプリメントや漢方などに使用され、注目を集めています。

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●基本情報
冬虫夏草とは、バッカク菌科に属するキノコの一種です。昆虫に寄生して養分を吸収し、子実体[※1]を伸ばしたものです。冬は虫の姿で過ごし、夏になると草になることから冬虫夏草と名付けられました。
世界中には約300種類の冬虫夏草があるといわれており、その内名前が付けられているものは226種で、その3分の2が日本で発見されたものです。
中国で冬虫夏草というと、チベットや四川、雲南、西康、ネパール、ヒマラヤなどの3,000〜4,000ⅿ級の高山帯に6〜8月頃発生する、コウモリガの幼虫に寄生したキノコだけを指します。
冬虫夏草の寄生する宿主には、鱗翅目(りんしもく:チョウやガの仲間)の幼虫や鞘翅目(こうちゅうもく:コガネムシやテッポウムシなど)の幼虫や成虫が多く、その他にハチやアリ、セミ、トンボ、ダニなども知られています。
中国では、紀元前の時代にキノコは植物として考えられていたため「虫草」と表現されたといわれています。
セミに寄生する冬虫夏草はよく目につき、あまり珍しくないということからやや価値が低くみられていたといわれていますが、コウモリガの幼虫に寄生する冬虫夏草はとても珍しく、高値で取り引きされていました。現在は人工培養が可能となったため、安定供給が可能になり手に入りやすくなりました。

●冬虫夏草の歴史
冬虫夏草は中国では殷の時代から滋養強壮、不老長寿のための食材として有名でした。
秦の始皇帝は、不老長寿の薬を求めた歴史的人物としてよく知られています。中でも焼酎につけた冬虫夏草を金一匁(きんいちもんめ)という高価な金額と交換した話や、美女の場貴妃が若返りの薬として飲んでいた話が伝えられています。冬虫夏草は滋養強壮の他に、アヘン中毒の解毒剤としても使用されていたことがあります。
また、中国女子陸上チームの馬軍団の連続優勝の陰に冬虫夏草があると報道され、スポーツ関係者の注目を集めたこともありました。
冬虫夏草の名が世界的に知られたのは1722年といわれており、日本には1728年に寧波(にんぽ)の船主である尹心宜が長崎に持ち込んだことがきっかけで入ってきたといわれています。1768年に青木昆陽が書いた『昆陽漫録補』に冬虫夏草のことが記載されています。
明治時代に入ると菌学者である南方熊楠によって冬虫夏草の研究が進められました。近年では、冬虫夏草の様々な働きが徐々に明らかにされてきており、注目を集めています。

●冬虫夏草に含まれる栄養素
冬虫夏草には、滋養強壮の作用を持つコルディセピンや免疫細胞を活性化させるβ-D-グルカンが豊富に含まれています。その他にも利尿作用やカルシウム拮抗剤[※4]としての働きも持つD-マンニトールや、血中のコレステロール値を低下させる働きのあるキチン・キトサンという食物繊維の一種も含まれています。

[※1:子実体とは、きのこの上の部分、つまり傘と太い柄のような部分のことです。]
[※2:子嚢菌類とは、傘のないキノコの総称です。傘のついた種類は坦子菌類と呼ばれます。]
[※3:活物寄生菌とは、マツタケや冬虫夏草のように生きている植物や動物に寄生する菌のことです。他にはシイタケのように死んでいる植物に寄生している死物活性菌や、腐った動物の死骸や植物に寄生している腐食寄生菌があります。]
[※4:カルシウム拮抗剤とは、細胞内へカルシウムイオンを流入する働きを持つカルシウムチャネルに結合し、カルシウムの流入を拮抗(阻害)することにより、血管拡張作用を示す薬剤のことです。]

●骨粗しょう症を予防する効果
カルシウムは骨の材料になるだけでなく、血液内で様々な生理作用に関係しています。血中のカルシウムが不足すると、骨からカルシウムが溶け出すことにより血中のカルシウム濃度が一定に保たれています。
冬虫夏草にはカルシウム自体も含まれています。また、カルシウムと協力して働く他のミネラルも豊富に含まれているため、相乗効果で健康に役立つと考えられています。

●ストレスをやわらげる効果
冬虫夏草に含まれているメラトニンには、体内時計を整え自然な睡眠を導くことをサポートする働きがあります。メラトニンは、脳から分泌されるホルモンの一種で自然な眠りを導きますが、加齢や生活リズムの乱れにより正常に分泌できなくなったり、分泌量が減少します。メラトニンを補うことにより体内時計が正常になり、質の良い睡眠をとることができストレスを感じにくくなるといわれています。
また脳神経伝達系であるアドレナリン系やドーパミン系神経にはたらきかけ、抗うつ作用を示すことも報告されており、抗ストレス効果や抗うつ効果が期待されています。【6】

[※5:白血球とは、血液に含まれる細胞のひとつです。体内に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する役割があります。]
[※6:腫瘍細胞とは、組織、細胞が生体内の制御に反して過剰に増殖することによってできる細胞組織のことです。]

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2024年03月06日

α-リポ酸

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α-リポ酸(アルファ-リポ)は別名チオクト酸と呼ばれる脂肪酸の一種です。細胞小器官であるミトコンドリアで働く補酵素の一つとしても知られています。60兆個存在する細胞すべてに存在する成分で、糖質の代謝や抗酸化物質としても働き、代謝に欠かせない栄養素の一つです。

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●α-リポ酸は牛や豚の肝臓、心臓、腎臓に多く含まれます。また、野菜でほうれん草、トマト、ブロッコリーなどにも含まれています。しかしながら、食品に含まれるα-リポ酸は微量で、1日100mgを目安に摂取しようとするとほうれん草にして約400kgも摂取しないといけない計算になります。

●糖質からのエネルギー産生に関わります。
体内でも微量に生成される物質ですが加齢とともに減少してしまい、食品やサプリメントから摂取することがおすすめです。

●両親媒性であり、水にも油にも溶ける性質を持ちます。その為、水相細胞質(血中や細胞質など)と油相細胞膜(細胞の膜、脂質の部分)のどちらにでも働くことができ、体の隅々で活躍する抗酸化物質となります。

またα-リポ酸は、既に抗酸化物質として働き、抗酸化力を失ったビタミンA、C、Eやグルタチオンなどの他の抗酸化物質を再生し、もう一度抗酸化力のある物質へと戻す働きを持つ物質としても使われます

●体内に存在するリポ酸はジヒドロリポ酸と呼ばれ、有害重金属を捕まえる-SH基がある為、重金属とキレート結合をし、有害重金属を体外に排出する働きを持ちます。

●α-リポ酸がさまざまな代謝に関わっているのがお分かりいただけたでしょうか。ちなみに、α-リポ酸は空腹時に摂取すると満腹時に比べ、2~2.5倍程度吸収が良くなるというデータもあります

普段の健康維持に非常に重要な成分なα-リポ酸もうまく使ってより良いエイジマネジメントをしていきたいものですね。

posted by かめ忍者 at 09:53| 栃木 ☁| Comment(0) | サプリメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月25日

魅惑のスパイス「ヒハツ」

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ヒハツとはコショウ科の1種で、主に沖縄・石垣島が特産地で、お料理の香辛料として戦前から地元民に愛用されてきたスパイスです。たまに沖縄物産展などでも出品されているので見かけた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

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サンスクリット語では「ピッパリー」。和名を「長コショウ」、英語では「ロングペッパー」と言います。石垣島では「ヒハーチ」「ピバーツ」などと呼ばれます。

「ヒハツ」はインド長コショウ。沖縄で自生・栽培されているのは、ジャワ長コショウで「ヒハツモドキ」です。ヒハツとヒハツモドキは、原産地は違えど極めて効能は似ていると言われます。

アーユルヴェーダではヒハツは最も優れたスパイスの中の一つとし、強壮作用、強精作用、皮膚、呼吸器系、糖尿病、腹部膨満、便秘、いぼ痔(じ、リウマチ、生殖器官などに良いと考えられ、また、脳の働きを良くすると考えられています。血管壁を強化することからアンチエイジング、美肌も期待できます。

コショウ科、ツル性で、濃い緑色の葉が窓を覆うと、強過ぎる日を遮ってくれ、地球温暖化防止策として、壁面緑化活動にも一役買っている話題の植物です。

古代の人々は「コショウとヒハツは成熟度合いが違うだけで同じ植物である」と考えており、明確に区別していなかったようです。中世になると、安価で供給が安定しているコショウが優位となり、ヒハツはヨーロッパであまり流通しなくなりました。

ちなみに、コショウ科ではあるものの、コショウと異なり、ヒハツの香りはほのかに甘く、爽快です。ただし、味はコショウと同様にピリッと辛いのでご注意ください。
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ここからは、ヒハツが有する「健康に良い効果効能」を3つご紹介します。

内臓温度が上がり、冷え対策になる

体の冷えは、「だるくなる」「イライラする」「太りやすくなる」など、さまざまな不調の原因になります。

冷えを解消するためには、内臓温度を上昇させなければなりません。生姜も効果がありますが、ヒハツのほうが内臓温度を上昇させやすく、生姜の場合は1日に10g程度必要なのに対し、ヒハツなら1日1g(小さじ2杯)程度で充分です。

なお、生姜の場合、何らかの調理(刻む、煮るなど)をしなければなりませんが、ヒハツなら小さな容器に入れて、コショウや七味唐辛子のようにふりかけるだけなので手間がかかりません。

むくみの解消につながる

むくみは、腎臓機能や末梢循環障害に起因する病的なもの以外に、健康な方でもデスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けている場合に発生することがあります。男性に比べて筋肉量が少なく、冷えやすい女性は、むくみに悩んでいる方も少なくありません。

愛媛大学の研究者が2009年から2011にかけて実施した研究によって、ヒハツには、冠状動脈の血管を拡張する作用や、血流増加作用、発汗作用、新陳代謝の促進作用などがあり、むくみに対しても改善効果があることが判明しました。むくみに悩んでいる方は、ヒハツを食生活に取り入れると良いでしょう。

血管が拡張するため、血圧の改善に役立つ

血管の内皮細胞は、血流が速くなると一酸化窒素を産生して放出します。放出された一酸化窒素は、血管の「中膜」と呼ばれる部位にある「平滑筋」に作用し、平滑筋の緊張がゆるむことで血管が広がります。

なお、血管を広げる働きは、放出される一酸化窒素の量に左右されることにご注意ください。ヒハツ由来のピぺリンを摂取すると血管内で一酸化窒素の働きが増強され、血管が拡張しやすくなり、血流がスムーズになります。

その結果、正常な血圧を維持するのに役立つので、高血圧の方は、ヒハツの摂取を心がけてはいかがでしょうか。


●注意点

ヒハツの1日あたりの摂取量は1g(小さじ1/2程度)とされています。大量に摂取すれば効果が高まるというものではないので、過剰摂取には注意が必要です。


ヒハツを摂り過ぎると、胃痛や吐き気、下痢などの症状が現れる可能性があります

●まとめ

ヒハツは、南アジア原産のコショウ科の香辛料です。現在、インドやインドネシアなどでは、さまざまな料理でヒハツが使われています。また、アーユルヴェーダにおいては、「長寿の薬草」として扱われてきました。

日本ではあまりなじみのない食材ですが、近年、テレビ番組で取り上げられるようになり、少しずつ知名度が向上しています。

ヒハツには辛み成分のピぺリンが含まれており、コショウのように「ピリっ」とした辛さがありますが、香りはシナモンに似てほのかに甘く爽やかです。

「内臓温度が上がり、冷え対策になる」「むくみの解消につながる」「血管が拡張するため、血圧の改善に役立つ」といった効果を期待できるので、食生活に取り入れてはいかがでしょうか。

有害成分の報告はありませんが、辛いため、一度に大量に摂取するのは困難です。コショウや七味唐辛子のように、さまざまな料理にふりかけると無理なく摂取できるでしょう。


posted by かめ忍者 at 08:51| 栃木 ☁| Comment(0) | サプリメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年01月10日

レスベラトロール

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長寿遺伝子を活性化させて、延命効果をもつ可能性が期待されている成分「レスベラトロール」。ポリフェノールの一種でもあるレスベラトロールは、その抗酸化作用からアンチエイジング効果や美肌効果だけでなく様々な健康効果が報告されています。

レスベラトロールは、ブドウの皮や赤ワイン、落花生の種皮などに含まれるポリフェノールの一種です。2006年に世界的権威のある学術誌「Nature」で哺乳類での延命効果が報告されたことから一躍注目を集めました。

赤ワインの消費量が世界一であるフランス人が、高脂肪食なのにもかかわらず心臓血管の病気が少ないという“フレンチパラドックス”の鍵を握る成分ではないかとも言われています。

数千の論文で動物実験による様々な効果が期待できることが報告されていますが、ヒトでの臨床試験も徐々に進められており、その効果が実証されはじめています。

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レスベラトロールは化学構造の違いでトランス型とシス型に分けられます。

トランス-レスベラトロール
ワインや野菜など自然の食材から取れる安定した分子構造を持っています。
多くの研究・論文報告においてはトランス型が用いられており、実際に細胞の若返りや老化を防ぐ効果が期待できるのはこのトランス型であると言われています。そのため、サプリメントにはトランス-レスベラトロールとして何r含有しているかを表記されていることが多いです。

シス-レスベラトロール
太陽の光や熱、酸化などに対して不安定な構造です。

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さまざまな作用が報告されているレスベラトロールですが、具体的にどのような効果が期待できるのかをご説明します。

●長寿
食事のカロリーを制限すると、サーチュインと呼ばれる長寿遺伝子が活性化されることが知られています。サーチュインは遺伝子の末端部分にあるテロメアと呼ばれる部分が加齢とともに短くなるのを防ぐことで、細胞の修復を促し寿命を延ばす効果があります。

レスベラトロールには、カロリー制限をしなくてもサーチュインを間接的に活性化する作用が確認されており、延命効果が期待できると言われています。この働きをもつことでレスベラトロールは注目を浴びることとなりましたが、実際のところはヒトでの臨床試験データはまだ少なく、ヒトでも延命効果があるかどうかは研究段階のようです


●メタボリックシンドロームの予防
メタボリックシンドロームは、お腹の内側や内臓の周りに脂肪が蓄積されており、動脈硬化や糖尿病などの様々な生活習慣の引き金になると考えられています。


●血液の流れを良くして心臓病などの予防
肥満のヒト被験者に対して、レスベラトロールを150r/日で30日間摂取させたところ、収縮期血圧の低下や血糖値・インスリン抵抗性の改善などの変化が認められました。そのほか代謝の変化を促しカロリー制限をしたときと同様の効果が示されたことから、レスベラトロールはメタボリックシンドロームや動脈硬化・糖尿病などの生活習慣病を予防する効果が期待できると報告されています。

血液中の悪玉コレステロールが活性酸素によって酸化され、蓄積することで血管の弾力が失われて動脈硬化や心臓病の原因になると言われています。
レスベラトロールは抗酸化作用をもつことから、悪玉コレステロールの酸化を抑制して心臓病や動脈硬化を防ぐ効果が期待できます。

また、一酸化窒素(NO)合成酵素を活性化し血管を拡張させる作用もあるため、からだ全体の血液の流れを改善することにより心臓病や脳血管疾患を防ぐ効果も期待できます。大阪大学の研究によると、この作用により陰茎動脈も拡張させるため、EDを改善して男性機能の低下を抑える効果も報告されています。


●不妊症の改善
卵子の中には、通常の細胞の100倍以上の数のミトコンドリアが存在します。ミトコンドリアは細胞内でエネルギーを作り出すいわば“発電所”のような役割を果たしており、産生されたエネルギーを受け取って卵子は正常に成熟し、子宮に着床します。しかし加齢とともにミトコンドリアの数が減ってしまうことで卵子の質が落ちてしまうと言われています。

レスベラトロールがサーチュイン遺伝子を活性化させると、ミトコンドリアの働きも活発になります。その結果、卵子の質が改善されるため、レスベラトロールは生殖医療の現場で用いられることもあります。
一方で2020年に報告された論文によると、卵子が子宮に着床する時期に摂取すると流産や卵子の着床率の低下につながる可能性があるようです。そのため、妊娠を希望される方は、必ず服用時期を医師と相談してからレスベラトロールを摂取するようにしましょう。


●女性ホルモン様作用と乳ガンの予防
レスベラトロールは、合成女性ホルモンであるジエチルスチルベステロールと同様に化学構造にスチルベン骨格をもつため、女性ホルモン様作用があると言われています。
そのため、更年期症状の改善に効果が期待できます。

また、乳がんの約7割は、女性ホルモンであるエストロゲンと結合して増殖する性質があります。そのため治療にはエストロゲンを抑えるホルモン療法が用いられますが、続けるうちに治療抵抗性が現れ、乳がんが再発する場合があります。再発に関与する遺伝子は研究で明らかになっており、女性ホルモン様作用のあるレスベラトロールがこの遺伝子の働きを抑えることで、再発乳がんに効果が期待できるという研究結果が一部で報告されています。

●いろいろな美容効果
レスベラトロールは、サーチュイン遺伝子活性化作用、抗酸化作用、血行促進作用、女性ホルモン様作用などをもつことから、美容効果も期待できます。


●サプリメント
レスベラトロールは多くのメーカーでサプリメントが販売されています。

海外製の商品の場合、タデ科植物のイタドリを原料に製造されているものがあります。しかし日本では、薬効・副作用の観点から医薬品区分となるためサプリメントへの配合は認められていません。また、イタドリにはエモジンというお腹が緩くなる成分が含まれていることもあり注意が必要です。

サプリメントを選ぶ際は、原材料やトランス-レスベラトロールの含有量をきちんと確認してから購入するようにしましょう。



長寿遺伝子サーチュインを活性化して、さまざまな健康・美容効果が報告されているレスベラトロール。適切に取り入れることで、からだの細胞を元気にして若返り効果が期待できるでしょう。

しかし、レスベラトロールをヒトが摂取した場合の病気の治療・予防効果についての臨床データの量はまだ十分とは言えません。レスベラトロールはあくまでも食品であるということを忘れずに、治療中に摂取する際には医師・薬剤師に相談するようにしましょう。
posted by かめ忍者 at 14:27| 栃木 ☀| Comment(0) | サプリメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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